視能訓練士とは
視能訓練士とは、理学療法士や作業療法士などと同じ医療従事者(国家資格)です。
英語ではOrthoptist(オルソプティスト)と呼ばれ、OTと略されます。
視能訓練士は、視覚に関わる医療専門職。
ひとくちに「見えにくい」と言ってもその原因や症状は多岐にわたります。
視力が悪い、視野が欠けている、色の認識がしづらい・歪んで見えるなど様々な症状があり、其々に適切な眼科検査を行わなければなりません。
また、検査のみならず視機能に何らかの障がいをもつ人に対し、機能回復のための矯正や訓練も行います。
高齢化社会と騒がれる昨今、生活習慣病が元になった眼病や、緑内障などの眼疾患が増加傾向にあり、視機能障害を患う患者の数は年々増加しています。
そういった方を対象に、ロービジョンケアと呼ばれる、視能関するリハビリを行うことも重要な仕事の一つです。
患者が持つ現状の視機能を最大限に使い、生活レベルを通常時に近づけるといった訓練となります。
視能訓練士に似ている資格として、眼科コメディカル(OMA・眼科検査助手)といったものが存在しますが、これは国家資格ではありません。
視能訓練士と同様に眼科の検査に関わる資格ではあるものの、
幼児の視力訓練や斜視矯正であったり視野の検査など、やはり国家資格である視能訓練士でないと担当できない業務も数多く存在します。
医師が定める患者の治療方針も、視能訓練士が検査をしたデータをもとにすることになるため、責任が伴うものの患者の回復していく姿を見ることがやりがいにつながります。
視能訓練士の仕事の価値は患者に対してだけではなく、得たデータで眼科医をサポートできる上、今後の医学の発展にも貢献できる専門職である点です。
勤務時間や規則などは一般企業等と比べ比較的規則正しい勤務となり、安定しているといえるでしょう。
視能訓練士の国家資格は更新義務が無いため、医学の進歩に伴い個人的な勉強はもちろん必要ですが、
出産後に子育てが一段落してからの再就職なども安心してできると評判が高く、2015年時点では視能訓練士の実に86.8%が女性というデータも出ています。
(出典:日本視能訓練士協会 2015年視能訓練士実態調査報告書)
また、全体の視能訓練士のうち、1割程度がパートタイムで勤務しており、週数日の時給制の求人もあるため扶養家族となった後も働きやすい環境です。
近年は男性の視能訓練士がふえつつあるものの、やはり女性が働く環境に適した条件となるため、女性の割合が圧倒的に高くなっています。
検査や訓練が主な業務となり、肉体的な力作業が比較的少なく、年齢を重ねても働きやすいというメリットもあります。
視能訓練士になるには
まず視能訓練士国家試験の受験資格を得るためには下記の3つの方法のいずれかが必要になります。
・高校卒業後に4年制の大学に通う
・高校卒業後、3・4年制の専門学校に通う
・大学または短大または看護師・保育士養成所を卒業し、1年制の専門学校に通う
最短で視能訓練士になるには高校卒業後に3年制の専門学校に通う事となります。
大学卒と収入の差があると言われますが、就職する病院の采配によるものなので
いち早く就職をしたい場合や、学費を抑えて視能訓練士を目指したい場合は専門学校をオススメします。
高齢化社会に伴った需要の増加と、まだまだ人手不足と言ったところで現状の就職率は高く、ほぼ100%とも言われています。
視能訓練士の収入
視能訓練士の初任給は一般的なコメディカル職と大体同じく約17~21万円程です。
ただし、看護師や医師などとは違い、業務内容からして夜勤手当や危険手当などがつくことはありません。
逆に言えば昼間に働くことがメインとなり、危険の少ない業務となるので女性が働きやすい職であると言えます。
平均年収は360万円と言われていますが、大学病院・総合病院・クリニックなど、就職先によって大きく変動します。
レーシックなどに特化している専門病院ともなると、月給が35万円になる求人も有ります。
視能訓練士の今後
眼科での勤務に留まらず、視覚に障がいを抱える患者を受け入れるリハビリ施設であったり視能に関連した民間企業での需要も増えています。
大学や専門学校等の教育機関で活躍する場合もあります。
まだまだ理学療法士などと比べると視能訓練士は多く知られていない資格である為、現状人数が少ないですが
眼病は多岐にわたるため、医師のみでの診察及び検査を行うことは難しく、視能訓練士を求める声が多く聞かれます。
しかしながら、近年は以前と比べ知名度が上がってきたことにより、数年先には人数が増えすぎるのではとも言われています。
転職せず、1つの病院に留まる視能訓練士が多い傾向に有り、視能訓練士目指すなら今から動き出すべきといえるでしょう。